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Wikipedia:日本中心にならないように

日本中心にならないようには、ウィキペディア日本語版が日本語の読み書き能力を前提とすることから構造的に生じるコミュニティの人的構成の日本社会への偏りが、観点や記述の日本への不適切な偏重、誤解を招く形で省略された記述、あるいは普遍性がなく閲覧者を限定してしまう表現などを引き起こさないようにすることを目的としています。

概要

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ウィキペディア日本語版は、理念としては日本語で提供される百科事典であって、「日本人だけに提供される百科事典」でも「日本の事物だけを本来の対象とする百科事典」でも無いということを認識することは重要です。

ただし、「日本の事物だけを本来の対象とする百科事典というわけでは無い」ということは日本語版が日本についての記事を充実させることを否定するものでは全くありません。日本の事物を対象としたプロジェクトであるという誤解や思い込みから、日本以外への記述が、表現や構成において不当な扱い(本来の対象と付随的な情報というような序列化)を受けたり、抑制されたり、なおざりにされたりしてはならない、ということです。

日本語の歴史的経緯と現状から、不可避的に日本語版は日本社会と様々な形で密接で不可分な関係を持たざるを得ませんが、そのことを踏まえた上でも、日本語能力を持つが、日本社会の構成員でも、あるいは日本人でもない閲覧者に対しても、有益かつ違和感なく理解できる記事を、ウィキペディアの基本的方針である「中立的な観点」 (Neutral Point Of View、NPOV) を維持しつつ提供することは可能でもあり、また必要なことでもあります。

日本語と日本社会の密接な関係から、閲覧者はウィキペディア日本語版に対して、主として日本の事象に対する知識を求めていることが多い、という面は自明の事実としてありますが、このことは必ずしもすべての閲覧者にとって正しいわけではありませんし、記事の分野によっては、大部分の閲覧者についてさえ正しくありません。とりわけ、記事名が明示的に日本の事象であることを含意していない場合は、日本の事象についてのみ、あるいは意図的に偏重して記述することは望ましくありません。このことは日本以外の事情の記述を、意図的に排除や抑制すべきでなく、可能な限り記述に努めるべきであるということで、日本の事情についての記述を必要以上に抑制すべきということではありません。日本社会に属する執筆者が充実しているということの利点をあえて損なう必要はありません。ただし、日本に限定していない記事名との整合性には留意する必要があります。

記事名だけではなく、記事の中で言及される事象についても、記事内の文脈において何らかの形で明示されていない限り、日本での場合にのみ該当する内容であることを明示しない記述を行い、結果として、一般的にもそうであるかのような誤解を招くことは避ける必要があります。

なお、記事名に日本のものであることが含意されているものはもちろん、対象が主に日本のものであったりするなど、日本と密接にかかわる事象については、日本に重点を置いた記述をすることが必要なことがあります。そうした場合にまで中立的な記述配分を強制することはこのガイドラインの目的とするところではありません。ただし、当然のことですがこれは、記述配分についてであり、記述スタイルについては同じように誤解を招かず、普遍性を持つ表現を心掛けるべきであることは言うまでもありません[注 1]

この文書はウィキペディアの内容に関する三大方針との関係では特にWikipedia:中立的な観点を背景にしていますが、同方針では他の二つの方針と相互補完的に調和して機能し、切り離して解釈されるべきではないと定められています。記事で言及する事物の同一性や関連性については、信頼できる情報源による確認を通して、Wikipedia:検証可能性Wikipedia:独自研究は載せないの方針に適合するようにしなければなりません。

一般的な指針

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ウィキペディアの記事は特定の執筆者に属するものではないとされています。執筆者や読者について特定の属性を前提とすることは、不適切です。ウィキペディアのライセンスはGFDLCC-BY-SA(一定の制約条件の下で文章の再配布を許容するライセンス)です。ウィキペディア日本語版の文章は、他のサイト(とりわけウィキペディアの他言語版)において転用されます(詳細は、Wikipedia:著作権を参照)。執筆者は、ウィキペディア日本語版上で閲覧されるということに強く依存した表現や暗黙の前提を置かないように配慮すること(Wikipedia:自己参照を避ける)が求められています。

対象読者の前提に関する指針

  • 読者の帰属・国籍など、日本語理解者であるということ以外の前提をなるべく置かない。
    • 「我々」、「我が国」などの、執筆者と読者が同じ属性であることを前提とした表現は好ましくない。
    • 普遍的でない、地域的な前提知識に過度に依存した記述は避ける。

記述の対象範囲の前提に関する指針

  • 主として日本の事情を対象としたものであるという前提を暗黙のうちに置かない。
    • 誤解を招く場合は「日本の」などの形で明示することを検討する。
    • 必然性がない限り、意図的に日本の事情のみ偏重して記述しない。

記述の評価・解釈に関する指針

  • たとえ個人的な観点でなくても、特定の地域・国家に限定された観点のみを採用しない。

執筆者は様々な閲覧者の立場に立つように心掛けたり、自分以外の方に協力や観察を頼むなど、広い視野や情報をできる限り提供するように心掛けてください。

問題となりうる文章例

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世界的に見られる事象を、そのことに触れず局地の事象のみを描写している場合、また局地の観点からのみ説明されている場合は、観点の偏りや誤解を生みやすい表現であるため、修正や加筆を行うことが望ましいと言えます。また、国際的な行事や褒章であっても全体の功績を表記せず、一部の功績をリストアップすることは刹那的であっても誤解を与える場合があります。全体項を作成し、一部の情報を理由を明確に付してピックアップすることが望ましいでしょう。

しかし、最初から全てを網羅することは不可能であり、できるところから加筆していくことが望ましいため、一時的に日本のことに偏るのは仕方ないといえます。またスタブ一般にも言えることですが、不完全な状態を長く放置しておくことはあまり好ましいとは言えません。解決策としては、他に誘導を図る、編集をより詳しい者に依頼する、確証が取れないものは書き込まない、噂や流説、浮言などは(否定はせずとも)そうであることを明確にする、などが挙げられるでしょう。

注意すべき表現

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日本人によって書かれた小説エッセイ日本の法規など日本文化の産物は日本を中心とした記述は避けられません。しかし、一般事象について述べるとき、できる限り平易で公平な観点で描写するのが望ましいと言えるでしょう。

以下の表現は日本の視点によるものであり、通常は避けることが望ましいです。その代替案を以下に示します。ただし、出典から引用した文章のようなものまで書き換える必要はありません。また、変更する場合においては、元の文の意味を変えないよう気をつけてください。

  • 「我が国(わが国)」「本邦」 → 日本
  • 「邦人」 → 「日本人」

以下の表現は、時として日本の視点のみで描写されている場合に見られるので、使用する際には注意が必要です。

  • 外国」「海外」「国内」「国外」「外国人」→ どの国や視点からみたものなのか明確に記述するように努めてください。「日本国外」「日本以外」「日本国内」等へ書き換えることもできますが、文脈的に明らかな場合は逆に表現がくどくなるので乱用しないでください。また、これらの表現は以降に続く接続詞によっては日本を排除した意味になってしまうおそれがあるため、変更する場合においては、元の文の意味を変えないよう気をつけてください。

言い回し

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文章を少し変えるだけで観点を中立的な言い回しに変えることができる例もあります。以下に例を示します。

  • 「日本はこうこうである。他の国ではこれこれが一般的である。」

という文章は、以下のようにすることで視点の偏在を減らすことができます。

  • 「日本では〜が採用されている。また○の国では…が採用されており、×の国では…が採用されている。一方で-の方法を模索し検討する国も出てきている。」

世界的という表現は曖昧であり、誤解を招くものになり得ます。また、提供する情報を減らし意図した誘導を行うおそれがあるため使用は避けるのが望ましく、具体的な地域名や数字や例を挙げるのが良いでしょう。全ての列挙はできないかもしれません。ただ、意図的な偏った抽出は避けてください。また、列挙するだけでは紙面を消費するばかりで情報の検索がしにくくなるため、条項号を分けるなどの工夫を行ってください。

文化の例

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発祥の地はそのことに触れ、できる限り具体的に微に入り細に入り描写することが望ましいのですが、労力的に不可能な場合があります。それを補うのが該当地以外の住民の執筆者が多い言語のウィキペディアであり、またそうあるべきです。ですからできる限り原文内容を踏まえ、不足するところは補遺し、また自国の観点を兼ね備えた描写が望まれます。労力が割けるのならば、保持する者からのみでなく外から観測した同事象を併記すると、読者により一層広い視点を提供することができるでしょう。

  • 発祥地の言語の立場としては特に参照される可能性が高いので、努めて正確な記述を心掛けてください。

時事的記事の扱い

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国際的なスポーツや賞などの功績を取り扱う際、全体の表記をすることなく一つの国だけに対して、明確な理由なく異なる扱いをすることは好ましくありません。なるべく全体を列挙し、日本人の受賞者だけを列挙するようなことは避けるべきですが、日本人以外の場合に対する知識が不足していたり、すでにそのような項目が存在する場合は、体裁、項目だけでも他国の場合を設けるなどし、削除ではなく加筆で対応してください。情報は可能な限り偏向なく提供することが第一優先ですが、加えて閲覧者の便宜を図り、情報を取捨した項を設けるなど価値の持つ編集をすることは歓迎されます。独立記事として「○○賞の日本人受賞者」のような項目を立ち上げ、更に詳細に記述するのも良いでしょう(Wikipediaの公式な基本方針中立的な観点)。

脚注

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  1. ^ それぞれの記事について、全ての地域、社会、国家の事情を網羅することは、多大な労力と適切な執筆者の参加を必要とするため、他言語版のウィキペディアへのリンクが日本国外の内容について補っているという側面があります。しかし、本来は、日本語版を閲覧するだけで必要な情報が得られることが理想です。日本国外についての記述を効率的に充実させるためには、他言語版のウィキペディアから(正しい手続きを踏んだ上で)翻訳転載することが許されます。翻訳のルールについては、Wikipedia:翻訳のガイドラインWikipedia:著作権をお読みください。

関連項目

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